プラント解体におけるPFAS除染

PFAS(パーフルオロアルキル化合物)は、撥水性や耐熱性に優れた特性から、フライパンのノンステックコーティング、消火剤、工業用製品、食品包装などに広く使用されてきました。しかし、これらの化合物は環境中で分解されにくく、人体や生態系に蓄積しやすい性質を持っています。そのため、「永遠の化学物質」とも呼ばれ、長期的な環境汚染や健康リスクが深刻視されています。

目次

PFAS汚染プラントの基礎知識

PFAS(ピーファス)とはプラントでも用いられるフッ素結合をもつ人工化合物の総称です。日本では「有機フッ素化合物」として知られており、現在は数多くのPFASが確認されています。その中で毒性が確認されている特定PFASは、以下のものがあります。 PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸) PFOSとPFOAは、水や油をはじく、熱に強い、薬品に強い、光を吸収しないなど独特の特徴を持っており、メッキ処理剤や泡消火薬剤、撥水剤、界面活性剤などに使われていたものです。さまざまな工業で利用されていたため、私たちの身の回りで使用する製品を作る際にも用いられていました。

ただしPFASは残留性と蓄積性という性質も持っており、環境汚染や人体への影響などが問題視され、各国で規制が行われている状況となっています。プラント解体では、系統遮断とドレン抜きを前提に扱います。

特定PFASを除染すべき理由

上記で述べたとおり、特定PFASは残留性と蓄積性という特性を持っているために、環境中に一度放出されると、長期間残存し続けることがわかっています。さらに一部は水に溶けやすく、工場排水などによって周囲の地下水・水道水が汚染されてしまう点も問題視されています。また同様に、人間の体内に入った場合にも、排出されるまでに長い期間がかかります。

このように、環境中での残留性や健康影響への懸念から現在は特定PFASの製造や使用・輸出が禁止されているものの、上記の通り残留性と蓄積性を持つ点から、水道水に残留していることが調査により報告されています。環境省が令和2年に実施した「有機フッ素化合物全国存在状況把握調査」によると、調査を行った143地点のうち、12都道府県の21地点において、水環境の暫定的な目標値(PFOSおよびPFOAの合算値で50ng/L)を超えていることが確認されています(ただし、暫定的な目標値を超過した地下水や湧水は、いずれも飲用用途の水ではありませんでした)。※1

また、世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関IARCでは、PFASのうちPFOAについては4段階ある分類のうちで「グループ1(ヒトに対して発がん性がある)」に位置付けを行ったことを2023年11月30日に公表しています。※2PFOSはグループ2Bとされており、PFAS全体の分類ではありません。

プラント現場で起きるPFAS汚染と撤去の初動

プラント現場でもPFASの侵入経路としては、食事や飲料に加え、食品の包装や粉塵からの経口摂取、カーペットや衣類などからの経口・吸入・経皮などが指摘されています。生活環境などによって異なりますが、食事による摂取が主な経路として考えられています。

PFOSやPFOAは現在製造や輸入が禁止されているものの、その便利さから過去に使われたものが土壌に残留したり地下水に含まれたりすることで、環境中に残っている状態となっています。これが水道水の水源となる河川や地下水に流れ出てしまうと、結果として水道水にもPFASが含まれてしまう可能性がありますし、土壌に残った分が作物に吸収されたり肉や魚に蓄積したりすると、結果的に食べることにも繋がります。このような点から、農林水産省では農畜水産物を対象として食品中のPFAS含有実態調査などを行っています。解体では無火気切断と区画の隔離、負圧管理を基本に進めます。

健康・環境影響とプラント解体時の留意点

プラント解体時も、PFASは、環境中に拡散すると水源や土壌に広がり、飲料水や食品を通じて人体に取り込まれる可能性があります。研究によれば、特定PFASは内分泌系や免疫系に影響を与え、がん、肝臓障害、発育障害などの健康問題を引き起こす可能性があります。なお、リスクの程度は化合物により異なり、PFOAはIARCでグループ1、PFOSはグループ2Bの位置付けです。

また、PFASは一度環境に放出されると、長期間にわたって残留し、自然に分解されないため、環境への影響が深刻です。取り外した部材は封入・表示し、搬出動線を汚染・非汚染で分けます。

プラント解体で生じる回収物の保管と表示

プラント解体で生じる特定PFASを含む廃棄物は、その特性から取り扱いが難しく、特別な処理が求められます。まず、特定PFAS廃棄物は漏洩を防ぐために密閉容器に収納され、厳重に管理されます。保管場所は、環境中への拡散を防ぐために、適切に設計されている必要があります。

また、処理施設への輸送は、特定のルールに従って行われ、安全性が確保されます。封入・表示と一時保管区画での識別を徹底します。

PFAS汚染プラントの除染と撤去

プラントの除染と撤去においても、特定PFASの難処理性から、廃棄物の処理方法には多くの課題があります。現在、一般的に採用されている方法は、高温焼却処理です。

この方法では、非常に高い温度で特定PFASを焼却し分解するもので、限られた企業でしか対応できません。撤去では無火気切断、区画の隔離、負圧管理を基本とします。取り外した部材は封入・表示し、搬出動線を汚染・非汚染で分けます。

本節はプラント解体に付随するPFAS汚染設備の除染を前提とした撤去までを対象とします。

また、米国のクラロス・テクノロジーズが産業廃水などに溶けこんでいる低分子PFASを光反応を利用して安全な物質まで分解するプロセスを開発しています※。

埋立処分の考え方と現場の注意点

一部のプラント解体に伴う特定PFAS廃棄物は、遮断型最終処分場に処分されることがあります。

しかし、PFASは環境中で移動しやすく、埋立地から地下水や周辺環境への漏洩が懸念されています

このため、埋立処分は最終手段とされ、可能な限り他の処理方法が模索されています。また、埋立地では、長期的なモニタリングと管理が必要不可欠です。梱包仕様と輸送経路の清掃手順を事前に定め、漏洩を防ぎます。

プラント解体に関わる法規制と今後の課題

プラント解体におけるPFAS対応では、PFASの処理に関しては、各国で法規制が強化されています。日本でも、PFASを含む製品の使用や廃棄に対する規制が進んでおり、化審法の指定を受けた特定のPFAS化合物の製造や輸入が禁止されています

特定PFASの処理に関しては、各国で法規制が強化されている状況です。日本も例外ではなく、特定PFASを含む製品の使用や廃棄に対する規制が進んでおり、特定のPFAS化合物の製造や輸入が禁止されています。

PFOSは2009年の「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs 条約)」の第4締約国会議にて制限・廃絶の対象となり、PFOAは2019年に行われた第9回の締約国会議にて制限・廃絶の対象となりました。この点から、POPs条約を批准しているおよそ180の国と地域において、PFOS・PFOAは製造・使用が制限または禁止されています。

また、各国では飲料水におけるPFASの含有量に基準値を設けています。例えばイギリスでは「1リットルあたり100ナノグラム以下」、ドイツでは「PFAS20種類の合計として100ナノグラム(2026年から適用)」、「PFAS4種類の合計として20ナノグラム(2028年より適用)」と定めています。また、アメリカでは2024年4月にPFOS・PFOAについて「1リットルあたり4ナノグラム以下」という非常に厳しい目標値を定めています。

2022年9月にはWHOから「1リットルあたり100ナノグラム以下」という目標値が提案された点からも、今後は各国でより厳格な制限を設ける動きが出てくると考えられています。さらにこれまでPFOSとPFOAと同じような性質を持っていることから代替品として使用されてきたPFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)も、2022年のPOPs条約にて廃絶の対象になっています。許認可とマニフェストを整え、記録と追跡性を確保します。

日本の規制と撤去で押さえる点

プラント解体・撤去では、POPs 条約で既にPFOSの製造や使用が制限されている状態だったものの、さらに2009年に「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令」を改正。この法律によって、2017年にPFOSは全ての用途において禁止されたことに加えてPFOSも2021年に禁止され、PFHxSも2022年に第一種特定化学物質に指定されています。

また、水道水においては厚生労働省ではPFOSとPFOAを水質管理目標設定項目として位置付けており、水道中のPFOSとPFOAの合算値を「1リットルあたり50ナノグラム以下」とする暫定目標値を定めています。この点について、もし水道事業者が目標値を超過した場合には、濃度を低減化するための措置を行うことが必要になります。マニフェストや搬出記録にPFAS関連の識別情報を明記し、追跡します。

まとめと撤去設計の要点

プラント解体の観点では、特定PFASの産廃処理は、難処理性と環境・健康リスクの高さから、非常に重要な課題です。現時点では、高温焼却や化学分解といった技術が中心となっていますが、完全な解決策はまだ確立されていません。

今後、より効果的で環境負荷の少ない処理技術の開発が期待されており、法規制の強化とともに、持続可能な廃棄物管理の実現が求められます。

除染を前提とした撤去を一連で設計し、保管・輸送・処分までの動線を分けて二次汚染を抑えます。

安全に産廃処理ができる
専門性の高いプラント解体業者
3選

専門性の高い解体業者に依頼すべき代表的なプラントとして、難処理廃棄物を多く含む化学薬品を扱うプラントと、火気による大事故が懸念される火力発電プラント、そして環境問題への対応でリユースやリサイクルを求められる太陽光・風力発電プラントの3つが挙げられます。

ここではそれぞれのプラント解体に優れた技術を持つ、おすすめの解体業者をご紹介します。

化学・電子機器製造
プラントなら
難処理廃棄物の処理に対応
クレハ環境
クレハ環境
引用元:クレハ環境公式HP
https://b38mwau6.lp-essence.com
クレハ環境が
おすすめの理由
  • PFAS、ハロゲン、ダイオキシンなどの難処理廃棄物を適切に焼却処理できる
  • 土壌汚染調査から申請書類作成までワンストップで実施できるためコストを抑えられる
天然ガス、石油などの
火力発電プラントなら
火気厳禁の現場にも対応
ベステラ
ベステラ
引用元:ベステラ公式HP
https://www.besterra.co.jp/
ベステラが
おすすめの理由
  • 独自の無火気工法により出火リスクを抑えた解体処理ができる
  • 遠隔操作可能な解体ロボットで、高所作業によるリスクを低減できる
太陽光・風力発電
プラントなら
環境負荷の低減に対応
SMART
SMART
引用元:SMART公式HP
https://smart.jpn.com/
SMARTが
おすすめの理由
  • 解体後の太陽光パネルや風力発電設備をリユースでき、廃棄コストと環境負荷を抑えられる
  • 独自の中古売買ネットワークを持ち、スクラップや遊休設備を買い取って工事費に還元できる